第十章・5 -吸血鬼の城-
2026-06-10
それは遠い昔のある刻、何の前触れもなく、唐突に訪れた。 思い思いにその日を過ごしていた住民たちが、突如として闇に蠢く虚空を、成す術なく見上げる中。街、そして国全体が、ゆっくりと、まるでそっと腕に抱かれるかのように、 […]
第十章・4 -ツヴァイクトーナメント-
2026-06-10
「ざッけんじゃないわよ!!」 ニス塗りで丁寧に磨き上げられた分厚い木製カウンターを、あわや割ってしまうのではないかという勢いで振り下ろされた、固い握り拳。そして、ドゴンッという重苦しい衝撃音。からの、エレンの怒号。 […]
第十章・幕間 -少年の独白-
2026-06-09
ピドナからツヴァイクへと向かう船の後部甲板で少年は一人、荒々しく波打つヨルド海の水面をじっと見つめていた。 「サラ・・・」 呟けど、その声はサラに届くはずはなく、波の合間に消えてゆく。 少年は、まるで自分自身が波 […]
第十章・3 -ロード・ノール-
2026-06-09
「行くのね、カタリナ」 マスカレイドがカタリナの手からミカエルへと返上された、その翌日。 ロアーヌ宮殿を背にして振り返らずに去ろうとしたのも束の間、あっさりとその決意を一旦反故にしたカタリナは、自分を呼ぶその声にく […]
第十章・2 -馬鹿げた選択-
2026-06-09
予定通りミュルスを発った翌日午後にはロアーヌへ入り、久方ぶりのロアーヌ宮廷でどこか落ち着かない一夜を明かした、翌朝。 日の出前のまだ仄暗い時間帯にふと目が覚めてしまったカタリナは、寝巻きの上に一枚羽織っただけのラフ […]
