第十章・8 -聖王の宿命-
2026-06-10
「あぁ・・・アレックス。懐かしい響きです。えぇ確かに彼は、アレックスでした」 ここではない遥か彼方を見つめるように目を細めて微笑みながら、詩人は時折小さく頷きつつ独り言ちた。 「聖王様は、アレックスという御名だった […]
第十章・7 -魔王の玄室-
2026-06-10
宵闇の国、ポドールイが静寂なる新月の夜(といっても常に暗いので昼夜の区別は曖昧だが)を迎えた頃。 僅かな星明かりに照らされながら、レオニード城の門前へ雪と共に舞い降りた巨竜を前にして、カタリナは心底呆れたような表情 […]
第九章・6 -全てを見通す男-
2026-06-09
ドンッ!! 木製の扉を打ち破る勢いで蹴り開け、鼻息荒くバンガード商業ギルド会館の一室へと乱暴に踏み込んできたのは、誰あろうバイロン卿その人だった。 とはいえ余りにその有様が先日までの彼とかけ離れていることから、そ […]
第八章・6 -ゲッシアの地-
2026-06-09
夜間に起きた、もはや幾度目かも定かではない妖魔の急襲を辛くも退けた、明け方のロアーヌ南東、対四魔貴族軍のロアーヌ軍防衛線最前線。 未だ戦火の収まる気配が全くないこの戦線に駐屯するロアーヌ侯国騎士団は、その朝、戦場に […]
第八章・1 -ロアーヌの危機-
2026-06-09
ロアーヌ侯国の首都ロアーヌから南東へエルブール山脈を仰ぎながら三日ほど徒歩行軍した所に、一部が沼地にもなっている広大な湿地平原が広がっている。 四魔貴族が一柱、魔龍公ビューネイの居城があるとの伝説が残る、聖王記所縁 […]
