第十章・幕間 -少年の独白-
2026-06-09
ピドナからツヴァイクへと向かう船の後部甲板で少年は一人、荒々しく波打つヨルド海の水面をじっと見つめていた。 「サラ・・・」 呟けど、その声はサラに届くはずはなく、波の合間に消えてゆく。 少年は、まるで自分自身が波 […]
第十章・1 -三百年の平和-
2026-06-09
聖王歴三百十七年、赤火の月。 歴史上二度目となった四魔貴族と人類の戦いはここに決し、世界からアビスの脅威は去った。 この事が世界中に伝わるのに大した時間が掛かることはなく、きっと一ヶ月ほどもすれば世界中が喜びに満ち […]
第九章・9 -宿命の子-
2026-06-09
荒れ狂う大気のように、あらゆる方面から襲い来る瘴気の暴風。 魔王殿地下全体を駆け回るその暴風は、触れるもの全てを一瞬のうちにアビスの瘴気に沈めんとしながら、足を踏み入れた愚かな来訪者を出迎えている。 その馬鹿げた量 […]
第八章・7 -竜との野営-
2026-06-09
思い返せば、空を飛ぶのは人生で二度目だな、などと、ふと思う。 一度目は、そう。南方は密林の奥にて、妖精族の長に招かれ妖精の里に向かう時に、フェアリーと共に風に乗って。 あの時に全身で感じた浮遊感は、きっとこの先何年 […]
第六章・幕間 -定め-
2026-06-09
暗く、暗く、暗く。唯只管に、暗い。 暗闇に覆われているその場所は、果たしてその場所が地続きで何処まで広がっているのかすら、全く不明瞭に思えるような不可思議な空間だった。上も下も前も後ろも右も左も。何もかも全てが暗闇 […]
