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第一章・8-魔神との邂逅-
たどり着いた先は、かつて魔王と聖王だけが踏破したであろう、巨大な回廊であった。半永久機関でもって鳴動するように不気味に赤く点滅する床や壁。見たこともない奇怪な装置。細かに施された彫像の数々。 そして、アビスの瘴気を
第一章・7-深淵への誘い-
「・・・シャール様!・・・ゴン君が見つかったんですね」 一端待ち合わせの場所に戻っていたトーマスは、上の階層から小さな少年を抱き抱えて降りてきたシャールを確認して立ち上がった。 「あぁ。やはり上の階で見過ごしていた
第一章・6-指輪と少年-
今より六百年を数える昔から三百年の年月を数えるまで、その地は世界の恐怖の中心であった。 約六百年前、死蝕の中ただ一人生まれたその子供は偉大なる生命として祝福された。だがその子供は死に魅入られて魔王となり、異世界アビ
第一章・5-旧市街の女神と騎士-
「ろくなものも出せないが、まぁそこに座ってくれ」 案内された家の中は、思いのほか掃除の行き届いた清潔な空間だった。所々に見られる老朽化による崩壊は丁寧に補修され、これならば暮らすには十分な空間だ。 部屋の中央に置か
第一章・4-旧市街へ-
「・・・ごめんくださーい」 市街地からは若干離れた高級邸宅の並ぶ住宅街の一角で、カタリナはやけに立派な館の門を叩いていた。 レオナルド工房にて数日の寝泊りを繰り返し、この日も大して眠れぬままに朝を迎えたカタリナは、
第一章・3-メッサーナ王国首都へ-
「・・・メッサーナの地・・・か。久しぶりね」 客船を降りて港にたったカタリナは、丘陵状に並ぶ町並みの先にそびえる荘厳なるメッサーナ王宮を望みながらつぶやいた。 世界最大の大国、メッサーナ。 世界地図のほぼ中心に位置
第一章・2-思わぬ再会-
驚きを隠せない城の者たちに急な別れを告げて一人ロアーヌ宮廷を出たカタリナは、ミカエルの言を受けてすぐさまロアーヌを離れた。 町で馬車を借り、彼女が向かうは西の隣町であるミュルス。 ミュルスは西の水平の向こうにメッサ
第一章・1-旅立ち-
それから幾日かがたつ間、カタリナはこれまた事務処理のお手伝いに終始していた。 その日も同じく仕事をこなしていたカタリナは日も落ちたころに、ここ最近にはなかった静かな夜を求めて中庭に下りてきていた。 ここ数日はなれな
序章4-集いし八人-
謁見の間に駆けつけたミカエルとハリードは、扉の中から放たれた赤い閃光に思わず目を覆った。視界が機能しない中で彼らが最初に聞いたのは、グシャッ、という鈍い音だった。謁見の間の中央に響いたそれは、飛び散った肉片が地面に
序章3-アビスとの対峙-
宮廷内の空気が一変したのは、更にあくる日の夕刻頃であった。 普段は気品に包まれた宮廷内が、戦場に漂う殺伐とした空気に包まれる。地下牢にまで聞こえてくる行軍の地響きと高らかな勝ち鬨に、カタリナは自らが動く時が来たこと