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第二章・7 -いけにえの洞窟-
夜間の山中では幸いにして、魔物に道を阻まれることはなかった。 土地勘に優れるポールが駆け抜ける道は多少荒っぽいながらも、かなりの近道だったのだろう。二人は翌日の昼すぎには、町へとたどり着いた。 船旅直後で不眠の強行
第二章・6 -生贄の噂-
その夜以降、カタリナは船の中でポールとゆっくり話す機会は殆どなかった。船上でたまに見かけても、すっかり見張り付きとなってしまったポールはあくせくと仕事をこなしているだけだったからだ。 カタリナはあの夜は殆ど眠れずに
第二章・5 -モニカの婚約-
「モニカ様が結婚ですって!!??」 ポールの口から出てきたその驚愕の話題に、カタリナはまず絶句した。次いで思わずポールの襟首をつかみ上げて席から立ち上がりつつ、絶叫した。一瞬にして周囲の食事客たちの視線がカタリナと
第二章・4 -北へ-
「カタリナ様ー、お弁当お弁当!」「あ、サラありがとう。トーマスは?」 玄関で最終的な旅支度を整えたカタリナは、駆け寄ってきたサラからサンドイッチの入った包みを受け取りながら辺りをきょろきょろと見回した。 「トムはさ
第二章・3 -世界一の商会-
一週間ほども療養していたら、驚くべきことにすっかりカタリナの怪我はふさがってしまっていた。 ブォン、と庭で太めの木刀を使い軽く素振りをするカタリナ。その剣筋は体が鈍っているため本調子でこそないものの、体に違和感は何
第二章・2 -腹拵えとティータイム-
「うまっ!?」 第一声は、それであった。それ以外の言葉が思いつかなかったのだ。 かつて無い奇妙な面子で食卓を囲む。広いテーブルの上には焼きたてのパンに手の込んだ色とりどりのサラダ、そして芳しい香りを放つメインディッ
第二章・1 -憂鬱な目覚め-
淡い陽に照らされて少しずつ意識が覚醒し始める。 穏やかな光に包まれながらそっと目を開けると、そこは木造の天井だった。それに気がついて数度瞬きをすると、次の瞬間には左肩に鈍い痛みが奔る。 「・・・ぅ・・・」 なるべ
第一章・8-魔神との邂逅-
たどり着いた先は、かつて魔王と聖王だけが踏破したであろう、巨大な回廊であった。半永久機関でもって鳴動するように不気味に赤く点滅する床や壁。見たこともない奇怪な装置。細かに施された彫像の数々。 そして、アビスの瘴気を
第一章・7-深淵への誘い-
「・・・シャール様!・・・ゴン君が見つかったんですね」 一端待ち合わせの場所に戻っていたトーマスは、上の階層から小さな少年を抱き抱えて降りてきたシャールを確認して立ち上がった。 「あぁ。やはり上の階で見過ごしていた
第一章・6-指輪と少年-
今より六百年を数える昔から三百年の年月を数えるまで、その地は世界の恐怖の中心であった。 約六百年前、死蝕の中ただ一人生まれたその子供は偉大なる生命として祝福された。だがその子供は死に魅入られて魔王となり、異世界アビ