お転婆令嬢と青年騎士
2026-06-10
「ミューズ様!ミューズ様!」 給仕のマリスンが自分の名前を呼びながら宮廷の庭を右往左往するのを、ミューズは息を殺して身動きをしないように注意しつつ、木の上からにんまりとした表情で眺めていた。 「ミューズ様!ミューズ […]
第九章・7 -ロアーヌ侯の名代-
2026-06-09
ただ一条の光すらも届かぬ、黒く、重く、深い、どこまでも只管に続くかのような暗闇。 まるで死蝕の只中にでもあるかのような絶望感に覆われたその場所は、その空間そのものが、生きとし生けるものの介在を頑なに拒んでいるかのよ […]
第八章・5 -夢語りのシェヘラザーデ-
2026-06-09
松明の明かりを頼りに長い階段状の岩肌を慎重に降りていった先には、自然の洞窟とは思えぬ程、いかにも不自然に何者かによって踏み整えられたような平らな足場が広がっていた。そしてその足場に立つと同時に、酷く焼けつくように肌 […]
第四章・6 -覚醒と決意-
2026-06-08
五年前、内乱の末に忠誠を誓った主を失い、自身も利き腕である右腕の腱を切られ、戦士としての命をも断たれた。 当時の近衛騎士団で何年も寝食を共にした戦友たちはシャールに対するルートヴィッヒのこの仕打ちに我が身の事のよう […]
第四章・5 -夢の中のピドナ王宮-
2026-06-08
気がつくと、そこは大理石製の見事な装飾が為された廊下だった。 ここに至るまでにどのくらいの時間意識がなかったのか、それはカタリナには分からない。 だが今それを気にしても意味はなかろうと思い直し、隣でゆっくりと起き上 […]
